藤井聡太七段の強さの秘密を将棋のプロ棋士の永瀬七段の新連載から分析してみました!
写真:産経WEST
2018年7月に発売された、将棋世界8月号で藤井聡太七段(15)に関連する新連載が始まりました。この連載は藤井七段本人が書く連載ではなく、トップ棋士や若手のエースが語る藤井将棋論です。
第一回目は軍曹の愛称でバナナ好きでもおなじみの永瀬拓矢七段(25) の投稿となっています。実際の紙面は永瀬七段の独り語りですが、会話形式でエッセンスをコンパクトにまとめてみました!
まずはプロデビューの対加藤一二三戦からお願いします。
デビュー戦の戦型は加藤九段が得意の相矢倉になりました。
相手の得意な戦型を受けて立つスタイルは将棋連盟会長の佐藤康光九段の昔のイメージです。
内容はどうでしたか?
先手の加藤流に対して、後手の藤井四段は将棋が軽くなる作りで、今ならこの構えは採用しないでしょう。
今とは違った印象なんですね。
そうですね。
展開としては攻めさせて、手厚く差すという流れになりましたが、非効率的で一方的に銀を撃たされる展開となっていて、やや受け身になっています。
はい。
途中は攻め込まれて危ういようでしたが、結果的に盤石な展開になりました。
最後の即詰みも見事でした。本来なら時間をかけて確認するところですが、読みに自信を持っているということなのでしょう。
危うさはあったものの最後は手堅く完勝という感じですね!
確かにデビュー戦は単調で軽い作りという印象でしたが、今ではどっしりと構えた横綱将棋の印象です。
次はどの対局を取り上げますか?
畠山鎮七段との王座戦二次予選での対局です。
この対局の特徴は何ですか?
アマチュアの方には違和感があるかもしれませんが、将棋ソフトの影響で新しい手が差されています。
差しこなすのにも難しい手ですが、新しいことをどんどん取り入れて自分のものにしています。
この対局では、藤井六段でも勝ち切るのが難しい局面でしたが、超人的な持っているものがあるとしかいえません。
次に取り上げる対局も王座戦二次予選ですね
糸谷哲郎八段との対局で、藤井将棋の特徴が表れた一局で怪力の糸谷に対して、悪形を差さない藤井という一戦となりました。
本局の特徴は何でしょうか?
きちんと相手の手を見て、しっかりとがめています。またプロ棋士100名中30名くらいの上位棋士くらいしか読めない手を読み切っているのは驚異的です。
それはすごいですね!
藤井六段の構えは自然でコンパクトにまとめられており、左右のバランス重視で組み立てています。
さら自陣に手を戻す柔らかい一手もあり、終盤はプロ棋士100名中15名くらいしか読めない手を時間を使わないで差して詰ましています。踏み込んで読み切って勝ち切っています。
おー
現代将棋を体現したような自然に差して自然に勝つ将棋でした。
藤井将棋の神髄といえるような対局はありますか?
どんな対局だったんでしょうか?
この将棋では藤井六段が2度もピンチを迎えていますが、勝っています。序盤は手厚く、中盤は辛抱するところは辛抱、終盤はとても強く勝ちにつなげるということです。
デビュー戦と比べて大きく変わった点はありますか?
とても将棋が手厚くなった印象です。丁寧な手が多く、実力を出しやすい戦型を指しています。棋譜を並べて勉強になり過ぎるくらいのレベルです。
そうなんですね!
ただ強いだけではなく、強いの上を言っている気がします。
ありがとうございました!
【考察】
マッハ田村の異名で有名な田村康介七段が渋い手を評価していましたが、永瀬拓矢七段も柔らかい手を評価していました。ケタ違いの強さはプロ棋士が誰しも認めるところですが、永瀬七段はとくに藤井聡太七段の大局観を高く評価していると感じました!
【参考】
https://www.amazon.co.jp/将棋世界-2018年8月号/dp/B07DKSSD73
※注意事項※
・段位などは当時のものとなります。
・要約した内容は原文ママではないため実際に意図した内容と異なる場合があります。