藤井聡太七段@将棋応援ブログ

将棋の高校生プロ棋士、藤井聡太七段のことについて書いているブログです。

藤井聡太七段の強さの秘密を「藤井聡太四段 炎の七番勝負」の本人の自戦記コメントから分析してみました!【前編】

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写真:AbemaTV

 

2017年、週刊誌を巻き込んで将棋ソフト不正使用疑惑で混乱する将棋界に突如現れた救世主ともいえる、史上最年少で中学生でありながら、将棋のプロ棋士とデビューした藤井聡太四段。

 

将来のタイトルホルダーが確実視されており、非常に注目が高い新人が、若手の有望株から順位戦でA級に在籍している超トップ棋士まで7人の強豪プロ棋士達を相手に七番勝負を繰り広げるAbemaTVの将棋番組が公開された。

 

この対局では藤井四段は以下の強豪と激突しました。

 

・第1局は唯一10代のプロの棋士として新人王戦で存在感を高めていた増田康宏四段。

・第2局は「負けない将棋」という棋書が有名で軍曹との愛称で呼ばれており、努力が将棋の強さの源泉であると主張する永瀬拓矢六段。

・第3局は甘いルックスで女性ファンが多いだけではなく、タイトル戦にも挑戦する人気も実力も兼ね備えた斎藤慎太郎六段。

 

↑ここまでが前編

 

↓ここからが後編

 

・第4局はNHKの将棋講座でもおなじみでこの年に羽生王座から王座を奪取することになる中村太地六段。

・第5局は順位戦A級のプロ棋士の中で弟子がプロ棋士になっている唯一無二の存在の深浦康市九段。

・第6局は永世棋聖であり、将棋連盟の会長も務める佐藤康光九段。

・第7局は誰もがその強さに驚愕する羽生善治三冠。

 

この対局の自戦記解説が天才棋士降臨・藤井聡太 炎の七番勝負と連勝記録の衝撃に掲載されていますので、会話形式でコンパクトにまとめてみました!

 

今回は前編をお届けします。

 

炎の七番勝負の全体を通しての印象はどうでしたか?

 

最初の6局がチェスクロック1時間で切れたら30秒。羽生三冠との対局のみチェスクロック2時間で切れたら1分。

 

奨励会で持ち時間が短い将棋に慣れている自分にはやりやすい条件だったと思います。

 

それでは増田四段との第一局についてお願いします。

 

三段リーグ時代に増田四段に1局教えていただいたが、その時は攻めを見切られて完敗して、その後、改めて教えていただく機会があったが、その時もうまく受けられて負けてしまいました。

 

増田四段は攻めのイメージがあるかもしれませんが、実は優勢になってからの受けに回ってからが強い

 

ええ。

 

本局はそういう展開にならないように気を付けていました

 

そうなんですね。

 

また対局前には増田四段の最近の実戦譜を20局並べて調べました

 

お互い居飛車党なので、どちらが先手でも角換わりになると思っていました。

 

やはりそうなんですね。

 

奨励会級位者のころは自分はかなりの攻め将棋でした。初段くらいから徐々に受けることも覚えました

 

また三段になってからは将棋ソフトを使うようになり、序盤から受けに回る将棋を指すようになりました。

 

そうだったんですね。

 

攻めることで優位に立つというよりは形勢判断の正確性を重視するようになりました。

 

角換わり腰掛銀の新しい対抗系はプロの公式戦で最近、頻繁に指されるようになりましたが、奨励会時代には全く自分も指していなかった最新型です。

 

「浮かむ瀬」を研究に使ってみるとこの新しい対抗系がよく指してくるので、研究するようになりました。

 

だだ本局では打開策が見いだせていたわけではありませんでした

 

そうなんですね。

 

本局は全敗の可能性もあった七番勝負の初戦1勝できて、ほっとしました。また1年前に完敗していた増田四段に勝ったことがなによりうれしかったです。

 

それでは永瀬六段との2局目の振り返りをお願いします。

 

永瀬六段とお会いするのは今回が初めてでした。

 

そうなんですね。

 

永瀬六段はプロ棋士デビュー時には振り飛車党で受けに回る将棋が多かった印象ですが、居飛車党になってからはバランス重視の将棋という印象があります。

 

ええ。

 

今回ゴキゲン中飛車は想定していませんでしたが、師匠とはゴキゲン中飛車との対抗系は研究会で研究していましたので、ゴキ中には超速でという方針に迷いはありませんでした。

 

はい。

 

途中で何度か粘る手を逸したのは残念だが、秒読みに早くなってしまったので仕方がない部分もありました。

 

それでは斎藤六段との3局目をお願いします。

 

斎藤六段は同じ関西所属の先輩で、奨励会時代に何局か教えていただいた経験があります。

 

序中盤のバランス型の将棋を指されている印象で、終盤に踏み込まれて負けることが多かったです。

 

その時は相居飛車の対局が多かったですが、ゴキゲン中飛車も指されていたので、永瀬六段ほどの意外性はありませんでした

 

本局の収録は永瀬六段の翌日だったので、斎藤六段は永瀬戦の内容は知らなかったと思います。

 

そうなんですね。

 

本局は連敗を避けることができたので、気分的に楽になりました。

 

(後編)に続く 

 

【考察】

奨励会級位者時代は攻め棋風で、そこからコンピューター将棋も取り入れて、無理に攻めるのではなく、冷静に形勢判断をするようになったという変遷があり、藤井七段につながる構想力の変化が語られていました。対局相手の実戦譜を並べたり、ゴキゲン中飛車を研究会で研究したり、研究熱心で対戦相手の得意戦法を避けない姿勢が伺えます。ちなみに浮かむ瀬を使っているのは初めて知りました。

 

 参考

abema.tv

book.mynavi.jp

 

※注意事項※

・アイコン画像:藤井聡太四段から引用させていただきました。

・段位などは当時のものとなります。

・要約した内容は原文ママではないため実際に意図した内容と異なる場合があります。